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Utricularia ウトリクラリア

ウトリクラリア(Utricularia)は、タヌキモ科の食虫植物で、以下の2つのグループに分けられます:
ミミカキグサ(陸生タイプ)
  • 地上性の小型の植物で、小さな葉を持つ
  • 地中や地表に捕虫嚢(トラップ)を形成
  • 美しい花を咲かせる
  • 湿った土壌や岩場に生育
  • 着生種は大型の葉を持つものも多い
  • 着生種には貯水球ができるものがある
 
 
タヌキモ(水生タイプ)
  • 水中や水辺に生育する浮遊性の植物
  • 水中に細かく分岐した葉と捕虫嚢を持つ
  • 水面上に花茎を伸ばして開花
  • 日本のタヌキモの中には、埼玉県羽生市のものが特別天然記念物に指定されている種もある
 
両者とも、微小な水生生物を捕らえるための特殊な捕虫嚢を持ち、この構造は世界で最速の捕食運動の一つとして知られています。
 

概要

タヌキモ科(Lentibulariaceae)に属する食虫植物の属。世界中で約220種が確認されており、水生から陸生まで様々な生育形態を示す。

特徴

捕虫嚢と呼ばれる特殊な器官を持ち、0.5ミリ秒という超高速で小動物を捕獲する。この捕獲速度は植物界最速とされる。捕虫嚢内は負圧に保たれており、トリガー毛が刺激されると瞬時に開口部が開き、周囲の水とともに獲物を吸い込む。

分布

熱帯から温帯まで世界中に広く分布。日本には約20種が自生し、本州、四国、九州、沖縄などで見られる。特に湿地や池沼、水田などに生育。

生態

主にミジンコ類、貝類、ケンミジンコ類などの微小な水生生物を捕食。栄養分の乏しい環境での生存を可能にしている。花期は種によって異なるが、多くは夏季に開花。

保護状況

湿地開発や水質汚染により、多くの種が絶滅の危機に瀕している。日本では環境省のレッドリストに複数種が掲載され、各地で保護活動が行われている。

主な保護対象種

日本国内で特に保護が必要とされているウトリクラリアの代表的な種には以下のようなものがあります
  • ムラサキミミカキグサ - 絶滅危惧IB類(EN)
  • イヌタヌキモ - 絶滅危惧II類(VU)
  • ホザキノミミカキグサ - 絶滅危惧II類(VU)
他多数
 

特定外来生物指定種

タヌキモ科の外来種について、以下の状況が確認されています:
  • エフクレタヌキモ(Utricularia cf. platensis)- 定着
  • ウトゥリクラリア・インフラータ(Utricularia inflata)- 未定着
  • ウトゥリクラリア・プラテンスィス
(Utricularia platensis)- 未定着
これらの種は特定外来生物に指定されており、生態系等に係る被害を防止する目的で、飼育、栽培、保管、運搬、輸入、野外への放出、譲渡等が原則として禁止されている。