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Genlisea ゲンリセア

概要

ゲンリセア属(学名: Genlisea)はタヌキモ科に属する食虫植物の1属。地下に特殊な捕虫器官を持ち、主にプロトゾアなどの微小な生物を捕食する。属名は19世紀のフランスの植物学者Paul Genlisに因む。

特徴

地上部には小型の葉とスミレに似た花を付ける。地下には特徴的なY字型の捕虫器官があり、この器官は螺旋状の通路になっており、一方通行の毛で覆われている。捕虫器官内部には消化酵素を分泌する腺があり、捕らえた微生物を消化・吸収する。
 

分布

本属には32種が知られており(2011年時点)、南米とアフリカの熱帯域に広く分布する。南米では13種が分布し、特にブラジル中部からギアナ高地に多様性の中心がある。アフリカでは11種が分布し、主にザンビア-アンゴラ国境域、ジンバブエ、コンゴ、モザンビークに集中している。マダガスカル島には1種が生息する。湿地や水辺、貧栄養な土壌環境に適応している。

生態

捕虫器官は「ウナギ籠」と呼ばれる独特の迷路罠式の構造を持つ。螺旋状の通路と内向きの剛毛により、一度入った微生物(プロトゾア、バクテリア、微小甲殻類など)は中心部へと誘導される。この特殊な捕食方法は、貧栄養環境での生存を可能にする進化的適応である。消化腺からはエステラーゼ、酸性フォスファターゼ、プロテアーゼなどの消化酵素が分泌される。

保護状況

生息地の開発や環境変化により、一部の種は絶滅の危機に瀕している。特に固有の生息地に限定される種は、生息地の破壊により大きな影響を受けている。保全のための取り組みが各地で行われ、人工栽培による種の保存も進められている。
 
 

主な原種

  • G. exhibitionista
  • G. flexuosa
  • G. lobata
  • G. metallica
  • G. nebulicola
  • G. oligophylla
  • G. uncinata
  • G. violacea
  • G. africana
  • G. angoensis
  • G. barthlotti
  • G. hispidula
  • G. stapfii
  • G. subglabra
  • G. taylorii
  • sect. Recurvatae
    • G. glandulossisima
    • G. margaretae
    • G. pallida
  • sect. Genlisea
    • G. aurea
    • G. filiformis
    • G. glabra
    • G. guianensis
    • G. minor
    • G. nigrocaulis
    • G. oxycentron
    • G. pulchella
    • G. pygmaea
    • G. repens
    • G. roraimensis
    • G. sanariapoana